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愛車レガシィの記録

ヘッドガスケットの抜けが発覚して以来眠ったままになっていたレガシィ君のエンジン再生計画がいよいよスタートした。場所は某チューニングショップである。別に隠す必要はないのだが、いずれ社長の意向を聞いて所在を明かにするかもしれない...
エンジンを降ろす

最初に行うのは油脂類の抜きとり作業。エンジンオイル、フロントデフオイル、トルコンフルード、クーラントの抜きとり。フロントフードを取外そうとした時に、整備書の写真をふと思い出した。この車はフードのつっかい棒の位置を変えるとフードがほとんど垂直になるので、フードを取外さなくてもエンジンを脱着出来るということを...スバル車はそんなにエンジン脱着作業が多いのか?

まぁよい、次の作業に移る。バッテリー、ラジエター、エアクリーナー、エアフロ...目に付いた補機類を次々にはずしてある程度本体が見えてきたところで本日の獲物であるコンピューターを助手席足元のカーペットの下から取り出す。

なぜかニヤけながらカバーを取ると、ありました、サービスホール... さっき社長からせしめた、もとい!譲っていただいたA型用の補助基板が付きそうな雰囲気じゃないですか。なになに、R946をR944の位置に付替えればいいのか。どれどれ? ん?R944は空いているけど、R946もジャンパー抵抗が乗っていないじゃないか! いきなり壁にあたってしまった。で、しげしげと回路構成を眺めているとなんとなくR944の隣のR945がしきりにサインを送ってきているのに気が付いた。どうも場所からみてプログラマブルなロジック構成用のPLCCに繋がっている君を指名することにしよう。もしかしたら壊すことになるかもしれないが、そのときはそのとき考えよう!

 本日の収穫
    1.1 ECUのメーカー UNISIA JECS
    1.2 ECUの品番 A56-000 R25
    1.3 基板の改版番号 A56-001 R00[4]

早速分解

先日途中で放っておいたエンジン本体を降ろしておいて貰ったので早速分解にかかる。目に付いたはずせるものからどんどんはずしていくが、はずしたボルトの場所が判らなくなるといけないので、はずした部品にそれぞれ取りつけることにする。補機類を全て取り外し、まずはフロントから。タイミングベルト周りのカバーを取り、テンションを抜いてベルト、プーリー等を全て取外す。続いてカムカバーとカムを取外し、ヘッドボルトを緩めるとあっけなくヘッドが外れた。

ここで、ヘッドガスケットやヘッド、ブロックのあたりを観察すると、やっぱりシリンダーから水路へのシール不良が見られた。どの気筒も下側がやばそうな雰囲気になっていた。これはやはりボクサーエンジンの宿命なのか?

続いてブロックを割る作業に入るが、初めての体験なのでなんとなく嬉しい。直列エンジンしか知らないのがばれてしまった... オイルパンを取り外しピストンピンを抜く。ここで社長が作った特殊工具の登場である。フルフローの癖に結構硬くて少し苦労してピンが抜けた。後は連結ボルトを緩めれば二つに割れる、と思いきやオイルパン側にボルトが隠れていた。危なかった、修理書をよく読んでいないことまでばれてしまったではないか... でも、これでわがEJ25は全てを晒してくれたのだ。わはは。

さて、腰下(というのか?)の方は、クランクや残ったコンロッドを取外してオシマイなので、ヘッドの分解に移る。バルブとスプリングなど一式を整理しながら取りだして、シムの厚みを測定しておく。シートのアタリやステムのガタなどを確認しながらの作業であるが、これが一昔前のチューニングエンジン並なのに驚いた。バルブは結構外アタリしているし、虫食いもあまり見られない。2本ばかりガタが大きすぎるのがあったのだが、他には特に問題は見られない。これだとバルブの再使用ができそうである。

パーツの洗浄に移る。ブロックとヘッド、カムカバーなど表に出るパーツをまとめてクリーナーで洗浄し、ストーブの上で乾燥させる。使用前・使用後みたいな違いにお約束のように驚く。ミーハーだとは思うが、ブロックを塗装屋さんに出してインプレッサ色に塗ってもらった。その後ボーリングと修正研磨に出し、クランクはダイナミックバランスとWPC処理に出す。ヘッドはポートと燃焼室の加工が終わるまでしばらく居残り。

せっかくなので

せっかくここまでばらしたので、燃焼室研磨を行うことにした。#80のサンドペーパーから最後はただの紙まで、社長からなんどもダメを出されながらシコシコと磨く。ここ10年こんなことはやっていないので、思いっきりくじけてしまった。続いてポート研磨。これもほとんど社長にやってもらう。私はときどきペーパーを当てたくらいである。

次はバルブのお掃除を行う。ボール盤にバルブをチャックしてポート側はワイヤーブラシ、燃焼室側はサンドペーパーでカーボン類を取り除くと共に、若干研磨するくらいの力加減で指先がやけどしない程度に押しつけること16本。指先に力が入らなくなったところで見切りをつけた。

続いてピストンまわりの重量あわせ。最小0.1gの電子秤を使ってまずは注文しておいたピストンの重量を測ってびっくりした。なんと重量差が0.1g以内なのである。ピストンピンも同じ... 恐るべし富士重工!思わず気が抜けたところでコンロッドアッセンブリの重量差を測ると最大4.2gであった。やっぱりすばらしい富士重工なのであった...

コンロッドをばらしてパーツごとに重量を測って最軽量のものに合せる。鏡面加工をしたいところであるが、熱をもつと変形してしまうのが嫌なので、今回は見送ることにした。本当はメンドクサイだけなのであるが、それなりの理由付けは必要なのがこの世界の常識である...

最終的にパーツごとに0.1g以内に収め、脱脂後に仮組みをして各気筒ごとの重量を測定してみたところ一組だけ+0.3gの差が出てしまった。しょうがないので、コンロッドとキャップをそれぞれの重量差に相当する分だけ(適当とも言う)切削して終了とした。

ブロック完成

仕事が忙しくてしばらくぶりに行って見るとブロックが組みあがっていた。社長のスバヤイ仕事に驚く。早速写真を撮りクランクをまわしてみるとこれが驚くほど軽いのである。ピストンクリアランスは4/100mmでである。クランクの修正とWPCの威力か?

リングの精密あわせをやってもらったので、(写真では解りづらいが)ピストンを動かしても合い口跡のオイル筋が全く見えない... 私はピストンをよく見ていなかったのだが、リングの回り止めが付いているらしい、すばらしい! でも良く考えるとボクサーの場合は回り止めは必ずいるような気がする。そうしないと合い口が上に行ってしまうから。

もうすぐヘッドが戻ってくる... シートカット、面研、ポート研磨、燃焼室研磨、バルブガイド交換が主な加工。この辺の写真も撮ったのだが、わがカメラが何をすっとぼけたのかコマ送りをしていなかった為多重露光になっていた。しかし、なんとなく芸術作品風なので面白いと思ったのでここに載せる事にする。

数週間後にヘッドが戻ってきた。仮組みしてみると、だんだん横に広がってきて補強を入れたい気分になってくる。とうとう燃焼室の写真を取れなかった、燃焼室だけはピカピカの鏡面仕上げをした自慢の一品だったのに残念である。

重要なのはヘッド組み

残る大仕事はヘッド組み。まずはバルブのすり合わせから。コンパウンドを薄く塗って何度もシールに当てていると、澄んだ音に変わってくるのでそれまで気長にパッコンパッコンやる。これも16本あるので結構辛い。しかしレース用のシート形状は外いっぱいで気持ちいい。

次にやるのはバルブクリアランス調整。目標値を IN:0.18mm EX:0.23mm に設定しカム一本ごとに作業を進める。まず目標値のシムで組んでバラツキを見る。計算したシムに組換えてもう一度確認する。加工屋さんの腕がいいのだろう、思った以上にバラツキが少ないことがわかった。安心して残りの作業を進めるが、やればやるほど感覚が鈍くなっていくのがつらい。シックネスゲージの接触抵抗だけで 1/100mm を求めるのだからしょうがないが、日ごろやっていないので時々全くわからなくなって困ってしまった。

といいつつもなんとか全部のクリアランスを測定した。カムが4本もあるので大変な気がするけど、考えたら1普通の直列4気筒と数は同じであった。でも気分的には仕事量が多いような気がした。休み明けにシムを発注すれば今週末には組みあがるだろう。ただ、ぴったりでない数箇所のシムを研磨することを考えると気が重い、あれをやると指紋がなくなるのだ。というわけで作業は依然続くのである...

そしてこれは今回購入したATクーラー。少々造りは雑であるが、値段[\15.000]を考えるとこんなものだろう。これでトルコンのトラブルが防げる(かも)しれないのなら安いものである。

ついでに足も

業者さんに頼み込んで卸値で分けてもらえるようになったので、ショックアブソーバーをビルシュタインに交換した。スプリングはノーマルのままだが少しは良くなるだろう。

まずは右リアから。ブレーキホースの固定フランジは抜けないタイプだったので、クリッパーで切り、プライヤーで曲げてホースとストラットを決別させる。ストラットからスプリングを取り外し、箱からビルシュタインを取り出して組み付ける。なかなか順調な作業である。元通り車に取り付けて、タイヤを付けようとした時に問題が発生した。タイヤがプレートと干渉するのである...しばし唖然とした...が、よく見ると前と後ろを間違えていただけであった...(汗・・・である。) 気を取り直して残り3本とも交換した。残りの作業は至って順調であったことを自分の(ほんの少しの)名誉のためここで報告しておく。

赤錆色のブレーキローターと新品のビルイエローの対比が美しい。満足である。

完成、そして搭載

純正エキマニがとんでもない取り回しなので、タコ足を作ろうかどうしようかと思案した挙句まずはゲソ足を付けない状態でエンジンをかけて音を聞いてみた。結果これはいけると判断し、次の目標はタコ足に決定した。1-3+2-4を1-2+3-4に変更するだけでたぶん数十馬力のアップが望めるであろう。

試乗の結果トルコンからデフにかけて音が出ている事がわかったので、早速ミッションを探し40000km品を見つけたので早速注文。たぶん休み明けに入るのでまずはミッションをおろす準備をした。それからカムカバーとキャップボルトあたりからのオイル漏れも発見されたので、ラジエーターを下ろしてタイミングベルトを剥き出しにしてキャップボルトも交換した。(泣) というわけで、待望の復活走りは明日以降に延期となった...

燃調はどうする

A’PEXi製のSuper AFCが届いたので早速取り付けてみた。CPUをむき出しにしてハーネスのテーピングを剥がしてから電源・IG信号・スロットル開度・を接続して最後にエアフロ信号にAFC出力を切り込む。楽勝であるが、取り説ではギボシ端子を使うように書いているのを横目にしっかりと半田付けした。これ常識である。

次に取り説を眺めながら初期設定を行なうが、ものすごくわかりにくい。怒りを静めつつどうにか設定を終えエンジン始動。燃料加減の方法をひと通り覚えてから試乗に出た。4速ロックアップで100km/h巡航でスロットルの「つき」がよいところを探る。が、あまりよくわからない、というかなんとなく良いのはわかるが1%刻みでの変化は認識できないのである。

なんとかセッティングを取ってみての感想。トルクが一回り太くなり、スロットル全開時の吸気音が大きくなった。そして0発進時にタイヤが鳴くようになった。最もわかりやすい違いは雨降りに全開すると立ち上がりが早いために1速でレブに当たるようになってしまった事。

仕上げはブレーキ

フロントのディスクローターが偏磨耗してジャダーが出るので研磨しようと思っていたのだが、この際サイズアップして対向4ピストンを移植してやることにした。ついでにリヤも対向2ピストンにしてマスターバックも交換。しかしこれはついでではなく必ずやるべきことなのである。調べたところリヤの移植とマスター交換は面倒なのでやっていない人が多いのだが、よくそんな状態でブレーキをかけることができるものだ...バランス悪いことおびただしいと思うのだがいかがであろうか?

とまぁ、復活への道を簡単に記録に残してみた。車がマイナー車なので欲しい情報とパーツが少ないのが欠点であるが、何とかやりたい事はやってみたので自分としては満足である。

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